ザ・ワールドは、なぜ時を止めるのか

 ザ・ワールドは、「ジョジョの奇妙な冒険」の第3部に登場するDIOのスタンドである。その能力が<時間停止>であることは、オタクならば誰もが知っていることであろう。しかし、なぜ<時間停止>なのか、それについてはあまり語られていない。まず、<時間停止>を正確に説明すると、静止した時の中で動く能力のことである。そして「ジョジョの奇妙な冒険」は漫画作品であり、漫画は静止したコマの中で物語を動かす媒体である。その為、静止した時の中で動く能力とは、静止したコマの中で物語を動かす能力を意味している。要するに、ザ・ワールドの能力は物語の主導権を主人公から奪う能力なのである。その為、主人公である承太郎は、物語の主導権を取り戻すために、DIOと同じく<時間停止>をするしかなかったのである。

 因みに、第6部で承太郎のスタープラチナ・ザ・ワールドがメイド・イン・ヘヴンに敗北したのは、世界が一巡したためである。世界の一巡をメタ的に解釈すれば、次の連載漫画に移ることである。次の連載漫画に於いて、承太郎は主人公でない(物語の主導権がない)ので敗北した。第4部でもバイツァダストで川尻早人に物語の主導権を渡した吉良吉影が敗北したので、「ジョジョの奇妙な冒険」には物語の主導権を握ったものが勝利するという法則があるのかもしれない。